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「さすがに、気味が悪いな。」
薄暗い街道を歩きながら、ワイリーが顔をしかめる。
彼とベントンの後方に居たエメットは、何も言わずに日の差さない空を見上げた。烏が数羽、耳障りな声を上げながら集まってくるのが見える。こちらが弱っていないか、偵察に来たのだろうか。
(連中は死人も喰った事があるのか。)
行動から察するに事実なのだろうが、想像しても一層気分が悪くなるだけだ。エメットは首を振った。
「ヤグトがァ・・・初めて来ダけど、モッケか何か出そうだべ。」
「あのさ・・・」
「・・・」
彼が訛っている為、ベントン以外の二人は緊張が緩みそうになるが、聖騎士本人は至って真剣な顔をしており、警戒を怠っている様子は無い。
だが、その真面目な顔を見ても、独特の郷土言葉は意味を聞かなければ解せない。
「もっけ、って何だ?」
「あ~…すまねがった、えっと何だべ・・・ンだンだ、こっちではアンでっドとかゴぉストの事さ指すべな。」
「げ!!滅相な事言いなさんな。」
「だったら聞かなきゃ良かっただろうが。」
急に立ち止まるな、後がつかえるだろ、とワイリーに愚痴を漏らすエメット。心なしか、先ほどよりも機嫌が悪いのは、「アンデッドと聞いて不安になったのは、ワイリーだけではない」という事だろう。
「ん?あいつらは昨日の・・・」
途中まで静かにしていた筈が、結局いつもの騒がしさを取り戻してしまった一行に気付いた者が一人。
彼-------リロイは潜んでいた物陰から飛び出すと、侵入者の前に立ちはだかった。当然、相手は剣を構えるだろうと決め付けていただけに、先頭を歩いていたシーフに指差しで叫ばれたのは予想外だった。
「出た、ゾンビ野朗ーっ!!」
『誰がゾンビだ。「馬鹿にしているのか?」「相手をよく見ろ、山猿。」』
騒ぐワイリーに、リロイとエメットの声が見事にシンクロした。陣営こそ違っていたが、彼に対するイライラとした気持ちの度合いは同じだった様だ。
さすがに一瞬黙り込んだワイリーだったが、相手を確認するや再びリロイに叫んだ。
「あーっ!お前こんなトコで何してんだよ!!」
「煩い、それはこっちが聞きたいんだ。」
口を閉じないワイリーに、リロイの神経は逆撫でされていた。
ヤクトという場所を考えずに大声を出すその態度に対してでもあったが、もっと根本的な部分--------自分の目を真直ぐに見て話すこのシーフが、彼は苦手だった。
昨日ギルを渡された時も、その視線に射抜かれた様な、それと同時に戸惑いや怒りに似た気持ちになった。
--------誰もが何かしらの負い目を感じているこのヤクトで、そんな風に他人に堂々と視線を合わせられる人物を、彼は一人しか知らない。
その形容しがたい気分を抱えたまま、リロイは口を開いた。
「悪い事は言わない、今すぐ此処から出て行け。」
「何だよその上から目線!」
「・・・俺達は、賞金首を捜しに来たんだ。」
出来るだけ早く立ち退くから、知っていたら教えてくれ、とワイリーを制して前に出たのはエメットだ。
「賞金首・・・だと?」
「ああ、『暴れ獅子』討伐にな。それらしい連中を見かけなかったか?」
一瞬、リロイの顔が強張ったのを、エメットは見逃さなかった。闇の中悟られぬ様に、後方へ押しやったワイリーをチラッと見、次いで自身の矢籠を指した。ワイリーは眉根を寄せたものの、矢を抜き取って彼の手に握らせる。
「そいつらに会いたいのか?」
近くの大きな木箱の上へ飛び乗る少年ソルジャー。
「と、言うか捕まえに来たんだがな。」
ははーん、と返ってきたのはあまり気の無い返事と、皮肉めいた笑顔。
「知っているぜ、会わせてやろうか?」
パチンッ、とリロイが指を鳴らすと、何処に潜んでいたのだろうか、武器を構えた者が数名、ワイリー達を取り囲んだ。
三人は自らも武器を取り、背中合わせに対峙する。現れた者の内、二、三人は彼らが初めて見る顔だが、昨日の四人は全員来ている。
「御代は高くつくぜ。覚悟しな。」
「何が言いたい!」
食って掛かるワイリー。フフン、と意地悪く笑うリロイの後方から、先日ワイリーに斬りかかったウォリアーの少年が現れた。
「俺達が、てめぇらの探している”暴れ獅子”だという事だ。自ら人の本拠地(庭)に入ってきて、昨日の様にいくと思うなよ?」
「やっぱり、罠か。」
矢を番えたままボソッと呟くエメットに、分かってたんなら教えろよ!、と前方を睨んだままワイリーは突っ込む。
「・・・ま、良いか。上等だぜ!お前ら根こそぎとっ捕まえて、プリズンに突き出してやらぁ!」
「やれるもんならな!」
リロイがワイリーに斬りつける。ワイリーは、左のナイフでこれを受け止め、更にもう一方のナイフで弾き返し、自らは素早く後方へ跳んだ。じりじりと間合いを詰めるソルジャー。その動きに合わせながら、ゆっくりと右後方へと移動し、一定の距離を置くシーフ。
戦う両者の斜め前方に、撃つタイミングを見計らっている銃使いを見つけたベントンだったが、助太刀に入ろうとした瞬間、ウォリアーに遮られた。
「おっと、お前の相手はこの俺だ。昨日のオトシマエ、しっかりつけさせて貰うからな。うぉぉっ!!」
「・・・っ!!」
険しい顔つきで剣を構えたベントンに、彼は大剣を振り上げ真直ぐに突っ込んできた。それを下方から騎士剣で受け止める。
ガキィィィィィ・・・・っ!!
耳に痛い響きと共に、その一撃を食い止めた騎士の足元から砂埃が舞った。
バンガの力は強い。ザリザリと靴と地面が擦れる音、徐々に押されるべントンの体。
--------それでも彼は、それを片手で成し遂げていた。
「・・・っ!?」
がら空きになっていたじんわりとした腹部に痛みを覚えた少年が驚いて身を引くと、ほんのりと服が赤く染まっていた。
前を見れば、先ほど攻撃を受けた金色の騎士剣とは別に、やや質素な銀色の剣--------セクエンスを構えた騎士が黙ってこちらを見ている。
「成る程・・・これは油断した。確かに昨日持っていた剣とさっきの剣が違うと思ったが・・・二刀流とはな。だが、いくら武器を持っていても、浅い傷しか付けられない”お情け”を捨てられないんじゃ、お前に勝ち目はねぇんだよ!!!」
再びウォリアーは剣を構えた。大降りだが今度は隙が無い。
歯を食いしばるベントン。
法の無いエンゲージ。こちらは相手を倒さずに捕まえれば良いが、相手は手加減をしない。下手をすれば命が危ない。
---------制約がある分、自分達は不利だろか
(否・・っ!!)
矢を番えたエメット、狙うのはベントンの後方に控えているスナイパー --------その弓を構えた腕。
「痛っ!」
少女が剛弓を取り落とす。
「弓職って、暇で良いよな。」
少女が恐ろしい顔で自分を睨んでいるのを横目で感じながら、エメットは最初の獲物を縄にかけた。
剣のぶつかり合う音は、そこから少し離れた路地にいた、若者の耳にも届いた。
「まーた、あいつら俺抜きで勝手に・・・」
言葉の後半は、リンゴが齧られる音に遮られた。
---------まさか雑魚相手に苦戦してんじゃないだろうな?
「しょーもねー。」
--------せっかくの昼食、ゆっくり食う時間くらいは欲かったんだけどな
小さなため息もつかの間。
たった二齧りで食事を終えた後、手首を鳴らし、妙に楽しげな顔で、若者は音のする方へと駆け出した。
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後書き
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