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(2)← 北方の聖騎士(3) →(4)


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 夕暮れのカドアン。
 人々が帰宅の途につく中、橙色に染まる町を忙しく歩き回っている人影が一つ。


「悪いが、うちの護衛は手が足りていてね。他を当たってくれんか。」

 あまりにも呆気無く閉められた扉を見つめ、一呼吸おいて大きなため息を漏らしたのは、あのパラディンの青年だった。
 これで八件目。


(やっぱりオラの言葉のせいかなァ。)


 見れば、他の傭兵はすんなりOKを貰っている。それなのに、自分はこんな時分になっても、一件も雇い先が見つかっていない。
 今日だけではない。この町に来てから五日もの間、ずっとこうして仕事を探している。そうこうする内に宿費も底をついた。後数件当たっても駄目だったなら、今夜から野宿決定だ。

「砂漠の夜は冷えがひでェって話ば聞いだけど・・・」


 マントで体を包み込めば、少しは暖かいだろうか。




 故郷を出てからというもの、こんな目にばかりあっている。正直、もう帰りたいと思った。麦畑と牧場が延々と広がっているあの町に。

 ---それでも、引けない理由が自分にはある。



 青年は、青い手拭いを取り出した。ワイリーの服を綺麗にする時に使った、あのハンカチだ。
 脳裏に、これを渡してくれた一人の若者の姿が浮かぶ。彼が、心の底から笑える日を迎える為にも。


 ---挫折する訳にはいかない。旅費を貯めて、さらに遠くへ。



「一刻も早く、故郷(くに)戻って皆に会いてェなぁ。」
「よう兄ちゃん。此処で何している?」

「・・・?!」

 考え込んでいたせいで、全く気付かなかった。日が落ちて薄暗くなり始めた通りに、人影が4つ。目前にソルジャーとウォリアー、後方の建物の屋上に銃使い、そしてスナイパー。




 完全に囲まれた。




 全員種族は異なるものの、大人と言うにはまだ早そうだ。見たところ、十代前半の若者ばかり。皆、飢えているのだろうか。全体的に痩せていて、顔が汚れていたり服が破れていたりするが、目だけは異様に光っている。


 全く、今日はついてない。その場に座って泣き出したい衝動に駆られた。



「おいおい、この状況で剣も抜かない騎士さんとは、とんだ腰抜けだぜ。」
「ま、好都合じゃない?財布の中身、置いて行って貰いましょ?」
「やっぱりモグはセンスが良いクポ。狙うならお上りさんが一番クポ~。」


 改めて自覚したくはない事なのだが、周囲に誰も居ないのを見ると、やはり狙われているのは自分らしい。



「ちょ、ちょっと待つだよ。オラ今、あげられる金も無いだ。」


 慌てて財布を広げて見せる青年騎士。確かにその中はスッカラカンで、相手は目を点にしている。どうやら、当てが外れた様だった。



「おい、騎士なら金持ちだって言ったのは何処のどいつだロルフ?」
「し、知らないクポ!モグもこんな貧乏な騎士初めて見ただよクポ!!・・・クポポ?!田舎言葉がうつったクポーっ!!」



「ごちゃごちゃ煩ぇんだよテメェらは。」

 今まで黙って成り行きを見ていたウォリアーが、前に出てくる。

「金が無けりゃ、代わりの物を置いて行って貰えば良い話じゃねえか。」


 そうか!!と、何処か抜けた反応をする仲間達と、まだ何もしていないのに半石化状態の騎士に、やれやれ、と首を振るバンガの少年。


「そうだなぁ・・・その腰に下がっている剣、寄越すなら見逃してやっても良いが。」




 ハッとした。ウォリアーが指差したのは、先祖代々家に受け継がれてきた騎士剣、セクエンス。彼にとっては、パラディンとして独立した日に父から手渡されて以来ずっと、共に戦ってきた、無くてはならない半身。



「これだけは駄目だァ。他の装備なら何でもやっから・・・頼む、これだけは譲れねェ!」

 哀願する騎士を見やり、スナイパーは銃使いを振り返る。

「って言ってるけど、どうするの?」
「丸裸にすれば、鎧や靴でも騎士剣くらいの金にはなるかも知れないクポー。」


 これだから、お前らは甘いんだ、と首を振るバンガ。


「馬鹿言うな、こういうのはな。相手が一生懸命に守ろうとする物に一番価値があんだよ。」

 という訳だ、と大剣を構えるウォリアーに、他の仲間も倣う。

「こっちも生きるか死ぬかの生活なんでな。言った通りにその剣を頂くぜ。悪く思うなよ。」
「・・・。」



 彼らが大人や魔獣なら、迷う事無く突っ込んで行ける。


 だが。


 騎士は、已むを得んと剣にかけた手を、再び下ろしてしまった。自分は文無しで苦労しているが、彼らはもっと辛い思いをしている筈だ。話が通じない相手だと分かってはいても、刃を向ける気にはどうしてもなれない。



 ---傷付いてボロボロになった少年には---



「来ないなら、こっちから行くぜ!」

 痺れを切らしたソルジャーが、先手を取って飛び出したその時だ。





 ズサッ

 


 鈍い音が地面から聞こえ、彼は思わず立ち止まった。
 ほんの一歩先の土に、深々と突き刺さっている矢。


 飛んで来た先を見れば、一人の狩人が、既に次の矢をつがえてこちらを狙っている。



「少しでも動いたら、次は腕に当てる。」

『・・・』




 ハスキーな低い声が、その場を沈黙させた。


(あれは・・・)
 騎士は彼に見覚えがあった。彼は確かさっきパブで・・・。




「クポポ!邪魔するなクポ!!」

 自らを奮起させるかの様に、銃使いは叫ぶ。


 銃声がした・・・が、狩人が倒れた気配が無い。と、突然矢が飛んで来た。そのまま、彼の被っていた帽子を後方へとさらう。


「ハメどられたクポ・・・」
「動くなと言った筈だ。」

 まさに矢の様な即答。少年モーグリはその場にヘタリと座り込んでしまった。








「ほいほい、余所見中に、ワイリー様流、『武装解除』完了だぜ!」
「あ!この野郎、返せ!!」

 一瞬の勝負に気を取られていたソルジャーは、背後から忍び寄ってきた影に気付かなかった。

 油断するなよ?命取りだぜ、と笑うシーフの手には、先程まで彼が持っていた武器が。


「返せっておめー・・・今さっき自分達がやろうとしていた事、分かってんのか?追剥ぎだぜ?泥棒より悪いってーの。」
「盗賊に説教されたくないわよ!」


 スナイパーが放った矢を、スレスレで回避するワイリー。さすがに連れの様な神業は使えない。


「ちょ、待てよ!俺達は交渉しに来たんだ。なぁ、エメット・・・おいこら、無視すんじゃねー!」

「交渉・・・だと?」
「ん?ああ、そうだ。」

 我関せず、を装うエメットの方に拳を振り上げて怒鳴っていたワイリーは、ふと真顔に返る。


「とにかくさ、金が手に入れば良いんだろ?だったら、俺がこいつの代わりにやるから、ここは引いてくんないかな。」


 顔を見合わせる少年ら。




「・・・いくらだ。」
「ざっとまぁ、手持ちにあるのはこんくらい。」



 ほれ、とソルジャーの手に札束を押し付ける。


「リロイ、それだけあれば暫くお腹も満たせるクポ!」

 リロイと呼ばれたソルジャーは、ワイリーを睨み付けながらも、半ば引っ手繰る様にそれを取ると、「帰るぞ!」と言って駆け去って行った。スナイパーと銃使いも、何やらアイコンタクトを取ると、笑顔で彼に続く。






「これで、一段落ついたろ?」


 笑って騎士の方を振り返ったが・・・彼は蒼白な顔でこちらを見ている。いや、正確にはその後ろ---


「『油断は命取りだぜ』?消えて貰おう!!」
「っ?!」




 ウォリアーの大剣が、ワイリーの頭上に振り上げられた。


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