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(3)← 北方の聖騎士(4) →転章


***** ***** ***** ***** *****


「あの馬鹿・・・っ!」

 エメットは急いで矢をつがえるが、間に合わない。







 ------ジャッジは何故来ない?ああそうか、これはエンゲージじゃなくてただの追剥ぎだったな。はは、来る訳ねーか。すげー痛いんだろうな、ジャッジ居ない時に、剣で一刺しってさ・・・-------







「止めてけろーっ!!」






 ガッ・・・






 硬く重たい物同士が、ぶつかる音が響く。








(・・・。)

 ありったけの覚悟をしているのに、何時まで経っても「その時」が来ない。ひょっとしてもう、雲の上に来てしまったのだろうか。

 恐る恐る目を開いたワイリーが見たのは、雲などではなく、今までと変わらない地面。
 そして、自分を覆う様に伸びている人影。


 カチャカチャカチャカチャカチャ・・・


 震える金属音が上から聞こえる。見上げると、ウォリアーの大剣が空中で停止していた。食い止めていたのは、装飾は無く質素なものの、銀の光沢が美しい騎士剣。

 震える音は、その刃と刃の間に生じる、力のせめぎ合いによるものだったのだ。



「くっ、こいつ・・・っ!!」

 両手で必死に押しているのに、全く剣が動かない。ウォリアーは汗だくだった。パラディンの額にも、汗が滲んでいる。

「この人は、オラを助けようとしてくれただ。絶対、傷付ける事なんねェだよ・・・お願ェだ、口止めのつもりなら、決して他言しねェから、こんな事止めてぐれ!オラ約束すっから!!」



 騎士は、押し返す力を弛めないまま、真っ直ぐ自分の目を見ている。些細な差だが、それが出来るだけ相手の方に余裕があるという事。


「ちぃっ!」


 少年は形勢不利と見て身を引くと、仲間が去った方へ逃げていった。





 全く、悪い汗をかかせてくれる。事が済んだのを見て取ったエメットは、構えていた剛弓を背負い建物を飛び降りた。



「何だ、強ぇーじゃん。」

 ホッとして肩の力を抜くと、今さっき助けたシーフが悪戯っぽい笑みを浮かべていた。

「襲われているトコに追い付いた時は、てっきりヘタレかと思ったぜ。」



 だけどな、と彼は急に真剣になって付け足す。

「誰かを守ろうと思うんだったら、まず自分を守る事を考えろ。死んじまったら、誰一人庇えねえぞ。躊躇する暇あったら、迷わず剣を抜け。」



「・・・ンだな。」
「・・・?」

 ワイリーとしては、ちょっとした注意のつもりだったのだが、騎士は俯いてしまって表情が分からない。


「ンだ、オラは前も、とっさの判断さし遅れて、大事な人守る事出来なンだ・・・。」








 響き渡る子供の悲鳴。
 駆け付けた自分が見たのは、主として慕い、弟の様に可愛がってきた少年が魔獣に引き裂かれる瞬間だった。

 まだ幼かった騎士は、恐ろしさも忘れ、己の何倍も大きいその魔獣に掴み掛かった。その後ろでは、左肩を真っ赤に染めた少年が虚ろな目で彼を見ている・・・。



 -------深手を負った少年だったが、命は取り留める。だが、その身は傷口から大量に入り込んだ魔獣の血に蝕まれていた。



 お前は取り返しのつかない過ちを犯したのだと、父に殴られた。
 父を恨みはしなかった、厳格で礼儀正しい聖騎士の父。自分が最も尊敬している人物。

 彼の言う事に間違いは無い、騎士は貴族に------忠誠を誓った相手に傷を負わせてはいけない。例え、その手に握った盾が、自分の命になったとしても。

 それなのに、自分は間に合わなかった、守り切れなかった・・・その重圧は、殴られた頬よりも痛む。



 そこに飛び込んできたのは、上半身に包帯を巻いた痛々しい姿のままの彼。泣きながら自分の父に取りついていた。父の手が止まったのは、その必死の仲裁があったから。






「誓ったのに、二度と誰も傷つけさせねェって誓ったのに・・・」
「・・・おい」

 言い過ぎただろうか、と不安になったきたワイリーがそっと呼びかけたが、青年の心は此処に無いようだった。



「庇われっぱなしで、何も出来ねェで。また醜態晒してしまった・・・オラは騎士失格だ。」

「んな事無ぇって!ほ、ほら俺だって無傷な訳だし、な?な?」




 -------ベントンは悪くないよ-------


 肩を掴んで揺さ振られ、顔を上げた騎士は息が詰まった。
 心配そうに覗き込むワイリーに、あの日父から自分を庇おうとした、あどけない少年の悲しい顔が重なる。



 今、彼は故郷だ。此処に居る筈はない。



 騎士は苦笑して、誰に言うのでもなく大丈夫だと首を振った。そしてようやく顔を上げ、「怪我は無かっただか?」と問う。



「ほれ、傷どころか埃もついてねーぞ。」

 クルクル回りながら無傷を主張するワイリー。妙に必死だ。

「何を踊っている、新しい芸か何かか?第一、お前の汚いマントじゃ、埃ついているかすら分からないだろうが。」



 青筋を立て、瞬間的に動きを止めたワイリーを上から下まで眺めるエメット。本当に怪我が無いのを確認し、フゥッと息を吐く。

「とにかく、無事なら良い。」

 お陰で猿が助かりました、と騎士に礼を言う狩人に、ワイリーが猿の如く反抗したのは言うまでもない。



「何だと!このムッツリ狩猟犬!!」
「いんや;助けられたのはオラの方ダよ。」
「誰がムッツリで、誰が犬だ!この馬鹿猿!!」



『・・・』

 会話が成立しないので、三人とも同時に黙り込む。




「とにかくさ、全員上手くいったって事で良いじゃん。で、お前これからどうするんだ?」

 騎士は返答に困って頬を掻く。


「今夜は、こごいらで寝るだ。」
「コゴイラ?ああ、”ここら辺”ね・・・ってお前な。」


 なんつー生活してんだよ。



 ワイリーは騎士のマントを引っ掴む。紫のホルスタイン柄になってしまった、あのマントだ。
 そのまま、グングンと歩き出す。


「おい!」
「エメット吠えるな!俺は・・・たった今こいつをクランに勧誘する!!」


「はぁ?!」
「?!」



 一方的で唐突な宣言に、返す言葉も無い二人。





「貴様どういうつもりだ!大体、お前の一存で決められる事じゃないだろうが。」
「モンブランには後で報告するさ。」
「俺が言いたいのは、そういう事じゃない。きちんと相手の都合も聞いてからにしろ。」


 都合?ならついてるよな?とワイリー。騎士もエメット同様、彼の意図が読めずに困惑している。


「仕事と寝る場所探してんだろ?だったらクラン単位で動いた方が見つけやすい。それに、マーシュ帰っちまった今じゃ、うちにはモーニしか前衛居ないんだぜ?パラディン居ればエンゲージも楽だし。」







 一挙両得~!俺って天才?!とはしゃぐシーフに、エメットはやれやれと騎士の方を向く。


「こいつはこう言ってますが・・・貴方はどうされたいですか?」
「ほ・・・」


 騎士が震えている。ちょっと固まるシーフと狩人。


「本当に良いだか?!」



 感動していただけらしい。びっくりさせんなよ、と呆れていたワイリーは、騎士が思い切り抱きついてきたので、再び驚く羽目に。



「かたじけねェ!オラ炊事以外だったら何でもするだ!!洗濯でも掃除でも何でもするだよ!」
「ちょ・・・苦じぃっ。」


 あの・・・普通に騎士やってくれれば良いです、と突っ込みたいエメット。だが、野郎二人が抱き合っている場で言う勇気は無かった。








 日が沈み、いくつか星が瞬き始めた空の下。

 握手を交わす騎士と狩人。そして、シーフと騎士。



「よっしゃ!!んじゃ今日から仲間だ、宜しくな!」

 シーフは相手の手を握り、笑顔で問うた。













 ------所でお前、名前何だっけ?



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