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Ⅱ.眠れぬ獅子に捧ぐ祝宴(1) →(2)


***** ***** ***** ***** *****


 チチチチチッ


 気持ちの良い風が窓から吹き込み、意識を覚醒させる。
 目を開いて最初に飛び込んできたのが天井だった事に驚き、そんな自分に思わず苦笑した。


(布団がこんなに有難ェもンだとは・・・)

 すぐ横を見れば、濃い茶髪の少年が、すっかり丸まってしまった掛け布団を抱き枕に、まだ深い夢の中。起きている時はお調子者でちゃっかりした部分もあるが、寝顔はまだ、どこかあどけなさが残っている。




「風邪さひくだよ?ワいリー。」


 揺り起こそうとした途端に顔をしかめ、今度は布団に埋まってしまった。放っておく訳にもいかなかったので、彼は自分の寝台の毛布をかけてやった。



 ワイリーがゴソゴソと布団に潜り込んだのを確認してから寝巻きを脱ぐ。それを丁寧に折り畳んでいた時、ふと、そう古くも無い記憶が思い出された。

 以前、別の町で借りた共同部屋の男達に、「おい、野郎部屋に腹筋の割れたオフクロがいるぞ」と大笑いされた事がある。その時風呂上りだった彼は、何も無いベッドを見るや否や、腰タオル姿なのも忘れていそいそと、長風呂している他の客の分まで布団を敷いていたのだ。
 結果、翌日に高熱を出し、今度は彼が手厚く介抱される事となった。

 そんな苦々しい記憶を振り払うように頭を振ると、部屋に備え付けてあった洗面器具に、ヤカンの水を入れて顔を洗った。



 それから寝台の傍に戻り、服の上から鎧と白いローブを身に付け、旅の間に少し伸びた髪を、上で纏めてターバンを巻く。






 さて、行くか。



 マントを羽織ろうとした時、それが綺麗になっているのに気がついた。はっとして振り返ってみれば、眠る少年の手がやや赤い。
 すると、突然呼びかけられた。

「今日は俺の奢りだ、どんどん食え!」

 起こしてしまっただろうか、と思ったが寝言らしい。昨晩の夢を見ているのか。

「スープ、旨かっただよ・・・有難ゥな。」




 パラディン-------ベントンは微笑むと、そっと部屋を後にした。








「なんだあいつは。まだ寝ているのか。」
「あンまり幸せそうな顔だもンで、起こしたら可哀想な気がしで…」



 パブの階段を下りて来たベントンにエメットは、甘い甘い、と手を振る。
 その横では、昨日は居なかったンモゥの錬金術士が朝食をとっていた。



「ワイリーを起こすなら、敷布団引っ張り出す位の事はしないとな。」
「・・・なンか、テェブルクロス引き抜くみてェだなァ。」

「おや、『ちゃぶ台返し』の方が確実じゃないですか?」




 いや、それは怪我するだろ・・・と言いますか、寝台引っくり返せとか、んな無茶苦茶な。


 エメットとベントンの困惑した視線が、同時に自分に向いたのが可笑しかったのか、錬金術士はクツクツと独特の笑い声を出した。


「貴方がベントンさんですか。申し遅れました、マッケンローです。」

 これから宜しく頼みますね、と彼は微笑み横の席を指す。勧められるまま隣に腰掛けると、予め頼んでおいてくれたのだろう、すぐに朝食が運ばれてきた。


 ベントンが、パンと同時に前に置かれた様々な瓶に迷った末、リンゴジャムを手に取るのを見ながら、マッケンローが再び口を開いた。



「そういえば、昨日ワイリーが『デカイ仕事』がしたいと言っていたらしいので・・・」

 まさか、とエメットは構えるが、ベントンはパンの端を小さくかじって首を傾げている。

「・・・見つけておきましたよ、それらしいクエスト。」


 また余計な事を、とエメットが誰に向けてか呟いたのはマッケンローも聞こえていた筈なのだが、彼は軽く流してクエスト内容の書かれた紙を出した。



『賞金首:暴れ獅子討伐。多種族で構成された窃盗団。ヤクト・アーリーを拠点としており、これまでに旅人が何人も襲われ怪我人も多数出ている。討伐に向かわれる際は注意されたし。

 王国プリズン騎士一同』


「いきなりヤクトかよ。」

 というか、騎士一同・・・自分で行け。

 エメットは頭を抱える。どうせなら鉱石採取や魔獣退治の類が良かった。何が悲しくて、こんなハイリスクのクエストを探して------------


「もう代金払っちゃいました♪」



 -----------いや、引き受けてくれたのか、このエセ紳士は。
 一瞬でも、未払いな事を期待した自分が馬鹿馬鹿しくなった。



「まぁ、受けちまった仕事はやらねェと。初仕事だし、オラやるだよ。」

 パンを完食したベントン。
 それを見ていたのか、パブの店員が今度はシチューを持ってきた。「ジャム、口の横についてますよ」と彼女に指摘され、ベントンは慌てて拭き取っている。店員はウフフッwと面白そうな笑い声を上げて、こちらお下げしますね、と空になった皿を運び去っていく。




「そうそう、頑張って来て下さいね。では、私は派遣クエストの途中なので~♪」

 落ち着いた、だが隙の無い動きで、マッケンローはその場を立ち去った。





 ・・・逃げた。こればかりは、昨日加入したばかりのベントンにも分かる。

「・・・俺、ワイリーを起こしてくる。」

 ガタンッと立ち上がって二階へ上がっていくエメット。後に残されたベントンが、シチューを口に含んだ辺りで




「そーゆーのを八つ当たりって言うんだよ!!」

と怒鳴り声が聞こえてきた。


「・・・。」

 スプーンを止めてみたが、それ以降何の音もしない。



「ちゃぶ台さ返したンだったら、もっとデケェ音するべなァ。」



 二階で何があったのか。こればかりは、昨日加入したばかりのベントンは知る由も無かった。





***** ***** ***** ***** *****
 



 後書き






 


 
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