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また、ワイリーが「置いて」あるな、とエメットは苦笑した。
クエストから帰ると、決まってこのシーフはパブの椅子でだらけている。通常なら腹が向いている方に背を向け、顎を背もたれに力無く乗せているその様子は、寄り掛かっているというよりも、長年旅人に使われ、くたびれてしまった鞄の様だ。
「おい、座っているだけなら何か注文しろ。マスターに睨まれているだろが。」
彼のだらしない座り方では、向かいの席に座ると顔が見えないので、すぐ横の椅子を引いて腰掛ける。脚の一本が磨り減っていて、ややガタついた。
「その椅子、壊れてるぞー。」
横で小さく舌打ちをした狩人の姿を見とめて、ワイリーは眠そうな顔のまま呟く。
「そんなもの、座れば分かる。」
「おめーと話すと話が続かねぇな。」
いきなり結論言わないで、ボケるとか出来ないのかよ、とワイリーはようやく普通に掛け直した。
「この状況でボケろと?無理な注文だ、お前じゃあるまいし。」
「どーゆー意味だ。」
「自分で考えろ。」
ワイリーを怒らせると切りが無いのは、エメットが一番良く知っていた。クランで活動を共にしだしてから、もう結構経っている。
出会ったのは、一昨日までこの場に加わっていた金髪の少年が、戸惑い顔でクランに加入する半年ほど前だったか。
ワイリーの気を逸らす為に、エメットはマスターの方を顎で指した。何か注文して来い、という意味だ。
「何だよ、人使いの荒い奴。」
ぶちぶち言いながらも従ったのは、長い時間ただで椅子を使っていた後ろめたさからだろう。そうでなければ、人の注文や命令は聞かない少年だ。
カウンターに行く緑のマントを見送りながら、エメットは異世界の事について思い巡らせていた。
マーシュが来るまで考えてもみなかった事だった、自己の住む世界とは別の世界の話など。
高くそびえ立つ金属の建物、人間族しか居ない世界。大半は彼自身が聞き出したのではなく、好奇心の強いあのシーフが、マーシュに頼んで話して貰った事を横で聞いて得た知識だ。
その話にいちいち、「すげーっ!」だの、「本当かよ?!」だの騒いで中断させる様は、まるで子供だと思った。
そして今も子供の様に・・・ワイリーは拗ねている。マーシュが自分の居ない間に帰ってしまった事に腹を立てて。
(実際にはマーシュより奴の方が年上なのにな。)
クランの仲間にとっては、彼のそこが難点であり、また魅力でもあるのだが。
狩人は帽子を被ったままだったのに気付き、それを外して窓の外に目を向けた。この時期にしては珍しい程に日が照っており、窓を通して彼の茶髪を金色に光らせている。
---このカドアンに、寒い紫冬の月が来ようとしていた。
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後書き
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